ブッダは27歳の時、宮殿を去った
- 2019.09.29 Sunday
- 00:05
パーサ: 西洋人や多くの霊的な生徒たち、それに仏教徒たちもブッダの話についてはよく知っている。ブッダの本名はシッダールタで、彼のことはイエスの話と同様に真実もあれば捏造されたものも多い。一部は宗教的神話と言えるけど、私たちがこれから話すのは神話じゃないからね。
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アーテン: イエスが生まれる約450年前、シッダールタはインド東部に生まれ、恵まれた生活を送っていた。父はシュッドーダナという名の王だった。シッダルタは母親の妹マハーに育てられて社会からは隔離されていたが、そこは大きな宮殿で広大な土地の中にあったので、自分が隔離されているとは感じていなかった。彼はマハーに過保護に育てられ、王である父は彼によい教育を受けさせた。
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彼は外側の世界について当時の知識を学んだが、実際に外へ出て見ることは許されていなかった。シッダールタが19歳の時、父シュッドーダナの願いでマハーはシッダールタを、ヤショーダラーという名の美しい女性に紹介した。1年後に彼の妻となる女性だ。彼らは互いに一目惚れをしたので、急いで結婚するように仕組まれたとは思わなかった。
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彼らは結婚して最初の数年は非常に楽しく、まるでおとぎ話のようだった。シッダールタの父は孫を見たかったが、その後数年経っても子どもを授からず、彼は失望していた。シッダールタとヤショーダラーも落胆していた。
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その後何年か経つにつれ、シッダールタは落ち着かず、そわそわするようになった。彼は美しく賢い妻を愛していた。にもかかわらず父から禁止されていた、これまで自分の目に触れることのなかった外の世界を、実際に見に行きたいと思うようになっていた。ヤショーダラーは彼を愛し、彼のそうした気持ちを手に取るように解っていたが、それでも何とかして彼を宮殿に留まらせようとしていた。
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シッダールタは次第に夢や幻視を見るようになった。それは彼が旅に出て多くの人と出会い、宮殿と広大な土地の外側には救いが待ち受けていることを告げていた。彼は自分がここを去れば、傷つく人々がいると解っていた。
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彼は優しい人間で、誰も苦しめたくはなかった。しかしシッダールタは苦しんでいた。それは彼が自分に何かが欠けていることを感じており、それを探しに出かけたかったのだ。
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彼は夢と幻視(ヴィジョン)を通して自分の過去世を知り、かつて自分が霊的探究をしていたことや、自分が探しているものを見つける手助けをしてくれるかもしれない、謎の人物がいることを感知した。それでも彼はその後何年も迷っては自問を続けたが、ついに行動を起こさずにはいられない時がやって来た。
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ある夜、みなが寝静まる中、彼は秘密の出口から抜け出した。これは子どもの頃偶然見つけた出口だったが、彼はその時までそれを使う勇気がなかった。ヤショーダラーは悲しみに打ちひしがれた。シッダールタはきっと帰って来る、彼は外側の世界を見る欲望を克服する必要があるだけだと自分に言い聞かせていた。
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彼女はそう信じて祈っていた。だがそのうちに、すっかり忘れかけていた別の祈りが叶えられたのだ。彼女は妊娠していることに気づいた。それは嬉しくもあり悲しくもあった。彼女は何としても子どものことをシッダールタに知らせたかった。
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ブッダつまりシッダールタに、ラーフラという名の息子がいたことはあまり知られていない。この事実は仏教徒の話としては受け入れられていない部分だ。また仏教はとても多様で、別バージョンの物語もある。いずれにしてもシッダールタは子どものことを知らなかった。
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彼は最初の数年、インド東部への思いを馳せながら自由に過ごした。ある意味彼の旅は、過去世を再生するようなもので、復習のようなものだった。しかし今回少し違ったのは、彼はすでに宮殿での裕福な生活というものを経験済みだったので、その暮らしを他のものと比較できた点だ。
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彼は禁欲主義者になろうと決心して数年それを実行したが、中国での老子との過去世と同じように、禁欲主義は必要ないという結論に至った。もし彼が先に裕福な生活を経験していなければ、完全にそう気づくことはできなかっただろう。
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彼は所有物や物質的な満足が、真に自分を満たすことはないとすでに知っていた。今度はいわゆるそういう豊かさを手放して(禁欲生活というものをして)も、同じく自分は満たされないことに気づいていた。
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ゲイリー: だから彼は中道を選んだの?
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アーテン: そうだ。でもその時期、シッダールタは別の大きな飛躍を遂げたんだ。彼は瞑想のマスターになった。そして瞑想だけでは悟りに至らないことを学ぶことになった。瞑想はエゴを解体しないからだ。悟りに達するにはエゴを100パーセント解体しなければならない。
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だが瞑想はしっかり実践すれば、心を落ち着かせて心を強くさせる。すると心を訓練し自制するのがとても楽ににできるようになる。そうした状態にあると、より効果的に思考体系を実践に移せるようになる。
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シッダールタは瞑想を通して過去世の記憶や、すでに学んだことをさらに思い出すようになった。同時に彼はいろんな形で友人だったJ(イエス)を思い出し、イエスこそが自分が探し求めていた人物であり、悟りに達するのを助けてくれる人だと気づいた。だがそれがどのような形で起こるのかは解らなかった。しかも彼はまだ、その転生で誰がJ(イエス)であるのかも解らず、彼を見つけたいと思った。
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転生という過去世の夢の中のすべてで、自分が学んできたあらゆることがよみがえり、彼の中に留まっていた。学んだことを失うことはないが、それを思い出さなくてはならない。彼はそれを瞑想において助けられた。
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シッダールタは極端なことはせず、節度を持って瞑想とともに生きた。禁欲主義に生きていた頃の仲間で、彼について来た者たちがいたが、ほとんどは離れて行った。しかし一方でたくさんの人たちが彼の下を訪れて話を聞くようになり、彼はグルとして知られるようになった。彼は自分の評判など気にせず、彼の節度という概念は、彼の人々への反応の仕方にも反映された。
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パーサ: 彼は、大事なのは行動ではなくて思考だと信じるようになった。つまり行動は考えていることの結果であり、シッダールタは考えが先で行動が次に来る、という順序で考えるようになった。彼は宮殿にいた頃、ヴェーダーンタとウパニシャッドという奥義書を教えられて理解しており、ブラフマンと世界の違いをよく解っていた。
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バガヴァッド・ギーターはそれについて「実在するものが存在しないことは決してなく、実在しないものが存在することも決してない」と言っており、シッダールタはまだその経験をしていなかったので、その生き方を見つけると決心していた。
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彼は老子との過去世で明晰夢を見る訓練をしていて、それを再び練習し、彼の弟子たちも練習するようになった。彼の弟子たちは、夢の中で意思決定のプロセスをコントロールできるようになれば、死後もその能力を保ったまま転生しない選択ができると考えていたが、実際にはエゴが完全に解体されるまではそうはならない。
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シッダールタはその転生では、それほど苦しむことはなかったけれど、(妻の)ヤショーダラーをとても恋しがっていた。宮殿に戻ることを考えた時期もあったが、彼は考えた。彼女を恋しがる気持ちや、何かをしなければならないという感情は、この世に鎖で繋がれた一種の苦しみであることに気づいた。何かに鎖で繋がれているということは、それに依存しているということであり、自分をその奴隷にしていると。
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彼はこの世界やどんな苦しみからも解放されて自由でありたかった。彼は苦しみの原因は欲望であることを示す大きな啓示を体験した。つまり何も必要としないなら、何も持っていなくても苦しまないはずと。しかもそれが実在していないなら、そもそもそれを欲しがる理由があるんだろうかと。
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誰からも何も得なくていいのなら、そこでやっと彼らと本物の関係を築くことができる。そうなるために禁欲主義者になったり、物質的にこの世界を諦めたりする必要はない。それは心で行なえることであって、心で行なうべきことだから。
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アーテン: シッダールタが思考と信念の相乗効果を発見したのはこの時期だった。彼はヒンズー教の神々を信じてはいたが、それに凝り固まってはいなかった。多くのヒンズー教徒はたくさんある神々の内、たとえばシバ神やビシュヌ神などのどれか一つを選び、選んだその一つを崇拝する傾向にある。つまり一神教がこの世に根付くのは時間の問題だった。
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シッダールタの時代には、すでに現在の三大一神教の一つであるユダヤ教が存在していた。でも一つの神に傾倒していなかったシッダールタは、真の現実(リアリティ)を意味するブラフマンと同一の「高次の自己」(ハイアーセルフ)に着目していた。信念の力が生じるところだ。
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パーサ: 信じると決めたものが、実在すると思うものになり、信じた通りに経験することになるの。シッダールタはそのように知り、何年も訓練してこの世への信念をまったく持たないようになった。その代りに彼はブラフマンである「真の現実」(リアリティ)を信じるようになった。そしてこの世界からあまり影響を受けなくなるにつれてますます人生を夢として体験するようになった。
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まだ完全に苦しみから逃れる方法を見つけてはいなかったけれど、彼は大きな前進を遂げた。シッダールタはインド東部で旅を続け、叡智を教え、自分のエゴを解体していった。彼は世界を否定する代わりに、精神的なレベルで否定した。世界を信じないで見過ごし、幻想のベールの向こうにあると感じられたリアリティに信念を置くようにした。
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彼が宮殿を去ったのは27歳の時だった。それから20年後、苦から逃れて救済へ向かう方法をある集団に教えていた時、後ろの方で立っている一人の男がシッダールタを見て驚いた。その男は宮殿で働いていた男だった。彼はシッダールタに近寄り、自分をヴァドマーと名乗り、自分のことを覚えているかと聞いた。
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シッダールタは驚いて興味を示し、ヴァドマーにいつ宮殿を去ったのか尋ねると、彼は約2年前だと答えた。それで(妻の)ヤショーダラーはどうしているか聞くと、彼女は3年前に高熱が元で亡くなったと告げた。シッダールタの目には涙があふれ、彼はこの世から影響を受けることを克服したと思っていたのに、明らかにまだ完全ではなかった。しかし次の情報で彼の涙はじきに止まった。
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ヴァドマーはシッダールタに、あなたの息子はあなたを見つけたのかと聞いた。シッダールタは自分の耳を疑った。彼は悲しみのショックと大きな喜びを同時に味わうことになった。シッダールタはヴァドマーに息子の名を聞いた。彼は「ラーフラ」だと答え、ラーフラは母親のヤショダラーが亡くなった約1年後に、父であるシッダールタを探しに宮殿を出たと伝えた。
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パーサとアーテンのメッセージ
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